Jタンポポの質素な生活

贅沢しないでも心を満たす暮らしを目指したい。

『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ著

はじめて読む作家さんです。



新聞の書籍広告か何かで見つけて図書館で予約していました。

昨日夕方から読みはじめて、夜布団に入ってからも読み続けて、朝は起きるなり読了しました。


虐待がメインテーマですが、被害者の周りにいる人たちの温かさと希望の持てる結末に久しぶりに涙しました。


クジラは海の中で声を出しあって仲間とやりとりするそうですが、世界に一頭だけ他のクジラには聴こえない52ヘルツの高い周波数で鳴くクジラがいる…という。


どんなに鳴いても仲間に伝わらない、群れの中にいても気持ちを交わすことができない。

人間社会にもそんな52ヘルツのクジラのようなひとたちがいる。


虐待、貧困、孤独、差別…

現実には哀しみや苦しさを声に出すことさえできない、声に出しても聴いてくれるひとがいないなんてザラ。


けれど本書の中では赤の他人が耳を澄ませ手をさしのべてくれて、緘黙症だった愛(いとし)が声をふりしぼる場面では心が震えました。


「感動した」などというありきたりの表現しか思い浮かびませんが、久しぶりに読書の悦びに満たされた1日でした。



朝ご飯は質素でも、時間がたっぷりとある休日の贅沢。

こんな生活が幸せです。